2 月は遠いぞ
[初出] 2005.08.07 [最終更新] [平均面白度] 4 [投票数] 4 [コメント数] 0
まったく今回のスペースシャトルにはハラハラさせられた。日本人が搭乗しているため、今回の飛行はテレビでたくさん見ることができたのはよかったんだけれど、2年ぶりというのに、あんなに立て続けにいろんなことが起こると、関係ないこっちまで心配になる。
しかし、そんなトラブルのおかげで、感動の場面を見ることができた。
機体のどこかに損傷が生じているかもしれないというので、それを観察するため宇宙ステーションのカメラにむかってディスカバリー号がまるで大きなエイのようにゆっくりバック転をしてみせたのだ。まるで映画の1シーンのように美しい映像だった。
これには感動した。見ました? よかったっしょ。
2001年にお月見とジム・ラベルの話題を書いたとき、ぼくは「人類が月へ行くことは、もう2度とないのかもしれない」と書いた。その時は、それがほぼ常識に近いところだったのだと思う。
月への有人飛行は費用はむちゃくちゃかかる割には、得られる利益は、そう多くない。一番大きなメリットは国威発揚くらいなんじゃないかな。だから、もう2度とないのじゃなかろうか。ぼくはそう思っていた。そういう風に発言している専門家の意見を信じたからでもある。
しかし、それからのち、事態は急速に変化した。有人宇宙飛行をなしとげた中国が、今度は月探査だと言っているし、その計画の目的のひとつが「将来の月面基地の場所の選定」っていうんだから、実際にいつか行く気なんだろう。
ブッシュ大統領も去年の1月には、有人月探査をふたたび行う(火星にも行く)とぶちあげた。
もしかしたら、もう2度と見ることができないと思っていた人類の月での行動を、ぼくも再び見ることができるかもしれない。あと15年以内っていうんだから、生き残っている可能性は少なくはない。
しかし、月はあまりに遠いのである。
地球の大きさをボールに喩える。だいたい地球は上下に少し押しつぶした富有柿のような形をしているもんだから、どこの数字を持ってきたらいいのか、迷うのだが、ま、赤道半径なら、GRS-80楕円体の数字では6378.137kmだという。
これをサッカーボールの大きさに見立てる。
サッカーの公式球(5号球)の外周は68〜70cmだそうだ。外周が68cmということは、半径は10.8cmくらい。サッカーボールは地球の5900万分の1ということになる。
それで月の半径(これもイビツな形をしているけど、それを無視していうと)1178kmくらいだから、地球がサッカーボールだと、月は直径4cmくらいの球になる。ピンポン玉が直径4cmくらいであるというから、ちょうどピンポン球くらい。
月とすっぽんじゃないけれど、地球をサッカー公式球とみなすと、月はピンポン玉となる。
サッカーボールの地球の周りをピンポン玉の月が廻っているわけだ。で、その間の距離は地球赤道半径の60倍の38万4400kmだというから、サッカーボール比率にすれば、6.5mほど離れれいることになる。
小中学校の教室の間口がだいたい7mだそうだから、教室の入り口付近に置かれたサッカーボール(地球)と、窓際にあるピンポン玉ということになる。
遠いぞ。
ぼくはそう思ったけど、友人Sはまったく違った反応をみせた。
「意外に近いな」と。
石:「え? そう? もしかしたらサッカーボールのたとえが悪かったかな」
S:「じゃあ、東京ドームで計算してみたら」
石:「東京ドームってどれくらいの大きさなんだ?」
S:「カチャカチャカチャ…。直径が244mなんだとさ」
石:「でもって月はは東京ドームたる地球の半径の60倍くらいのところを廻っている」
S:「38万キロだったかな」
(さすが、同じアポロ世代。ちゃんと数字を記憶しているのである)
石:「半径122m×60は7.3kmくらいか。阿佐ヶ谷駅くらいかなあ」
S:「ん? カチャカチャカチャ。いや。阿佐ヶ谷駅はドームの中心から10,485mです」(by MAPFAN.net)
石:「ずいぶんオーバーランしたな。じゃあ、中野駅くらいか」
S:「中野駅プラットホーム中心から7822m」
石:「あ、惜しいな。まだ500mのオーバーランだ」
S:「東京ドームが地球だとすると、月は中野のちょい手前にあるってことになる。じゃあ、このモデルで人間はどれくらいちっこいんだ?」
石:「地球の赤道直径が12756kmで、東京ドームが244mだとすると、えと、5万2,280倍ってことでしょう」
S:「つーことは、身長1m70cmの人間が0.03mmか。ゾウリムシが0.04mmだから、ちっこいゾウリムシ程度ってことだ」
石:「なるほど」
S:「ってことは、ニール・アームストロングはゾウリムシの分際で、後楽園から中野まで旅したことになる」
石:「しかも往復だしね」
S:「すげーな」
石:「すごいよ」
月は遠いんである。
S:「でもさ。東京ドームモデルは首都圏に住んでる人間にしかわからんぞ。大阪ドーム、あるいは福岡ドーム、はたまた札幌ドーム・ナゴヤドームモデルでどうなるかを計算しないとね」
そこまで言うか。それは明日だ。
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