2 クマムシの捕まえ方
[初出] 2004.02.16 [最終更新] [平均面白度] 4.25 [投票数] 442 [コメント数] 15
かつてぼくが顕微鏡を買ったのはクマムシが見たいからであった。買ったのはビクセンのFM900という機種。これは非常によい買い物であって、クマムシもバンバン見えたのだが、写真がうまく撮れない。デジカメが悪いのかもしれないし、技術が稚拙なせいかもしれない。
その点、M2は写真もムービーもちゃんと撮れる。ただし、光学式の顕微鏡より探索は困難になる。
3年ほど前にクマムシのことをここに書いた時にはほとんどクマムシ関連情報のページはなかったのだが、さいきんは非常に増えた。だからいまさら言うこともないのかもしれないが、まずは、クマムシの見方などを書いておく。
ぼくにとってオーソドックスな方法は、竹の枯葉を使う方法である。これは、中学高校と同窓であった友人の野田隆志に教えてもらった方法。
クマムシをどうやってとっつかまえればいいかわからなかったぼくは(だって、前にも言ったように、当時はWeb上に情報がほとんどなかったんだ)プロの生物研究者である彼に泣きついた。
彼も専門外のクマムシの採集方法をしっていたわけではないが、さすがというかなんというか、「無脊椎動物 採集・飼育・実験法」(北隆館)という本を持っており、そこから下記のような長文の引用をわざわざタイプし直してメールで送ってくれた。まさに持つべきものは友。
緩歩類(Tardigrada)
採集
クマムシ類(緩歩類)はふつう1mm以下の原生動物程度の微小な動物で、多くは湿地のコケ類や淡水中の水生植物の間などに生息し、海岸の潮間帯の藻類の間に棲むものもある。歩行がのろいので緩歩類と呼ばれている。クマムシ(チョウメイムシ)(Macrobiotus intermedius)は、各地の湿地、池沼にごく普通に見出される種類で、タケの枯葉などにもよく見られる。マミズクマムシ(Hypsibius augusti)は、各地の池沼のケイ藻のような付着藻類の間などに多く、墓地の花立ての中などにも見出される。湿地のコケ類にはニセトゲクマムシ(Pseudechiniscus suillus)がごく普通に見られ、潮間帯のアオサなどの間にはイソトゲクマムシ(Echiniscoidessigismundi)が群がってよく見出される。
クマムシ類は周年採集できるが、春から秋にかけて最も多い。コケ類や水草、藻類などを集めて小さく切り、これらを水に入れてよく振り、大型の固形物を除いて、遠心分離器にかけ、沈殿物を検鏡すると、クマムシ類が容易に見つかる。
またタケ類の枯葉を採集し、これをビーカーに入れ水にひたして一夜置くと、ビーカーの底部に容易にクマムシを見出すことができる。こうすると、大型のクマムシは大抵仮死の状態になっていて、これを検鏡していると普通1時間以内に活発に運動を始め、細部を観察しにくくなる。これを放置すると、水が蒸発して乾燥し、クマムシは枯葉の一片のようになる。このまま1ヶ月放置してのちも、水滴を加えると、体は水を吸収して常態に復するので、活動を始めるまでゆっくり検鏡できる。カバーグラスをかけて、こうして乾燥させておくのは、同じクマムシで数回繰り返すことができる。(海産クマムシの採集については文献紹介あり)
飼育
生息場所の水草、藻類を泥と共に入れた腰高シャーレなどで容易に飼育できる。海水の場合は毎日取り替えた方が良い。水を換えるとき、クマムシは藻類などから離れることは少ない。コケ類や木の皮などについているものは、そのまま腰高シャーレなどに入れて飼育できる。シャーレは室内の直射日光が当たらない場所に置き、できるだけ生息場所の温湿度近くに保つと良い。こうして周年飼育でき、また増殖させることもできる。
クマムシは主にケイ藻などの藻類、コケ類、水草などの細胞内容のような植物質を食べ、有機物のくずも食べる。ただオニクマムシ(Milnesium)の類だけは肉食性と言われている。クマムシは、ダニ、昆虫、アメーバ、有角アメーバなどに食べられるので、飼育容器にこれらが混入しないように注意を要する。
クマムシ類の多くは、前記のように乾燥や温度変化に対する抵抗力が非常に強く、特にコケ類の間に棲む種類でそれが著しい。乾燥状態にあるものは体を縮め、体の両端と脚を深く引き込んで樽のような形になる。この状態のものは生活作用は休止し、いわゆる「乾眠」に入る。乾眠をするのは陸産のものだけで、水生のものは乾燥させると死んでしまう。乾燥や食物の欠乏など、生活条件が悪化すると被嚢する。これは水生のものだけでなく、陸産のものにもよく見られる。被嚢してから2〜4週間のうちまでは体器官はなお健在であるが、さらにこれが長引くと死んでしまう。
要するに竹ですな。竹落ち葉。この情報をもとにぼくが編み出した方法。竹落ち葉を拾ってくる。これを数枚試験管に押し込み、塩素を飛ばした水をそそぐ。放射能にもほぼ絶対零度にも負けないクマムシが塩素ごときでやられることはないかとも思うが、ま、念のため。冬場は30度程度に暖めた水を使っている。
その試験管を親指でふたをしてシェイクする。激しくシェイクする。そして試験管立てに立てて30分ほど放置する。試験管の底にはゴミのようなものが溜まっているから、それを静かにスポイト(ピペット)で吸い込む。
ピペットには一度にかなりの水が入り、沈殿物もピペットの中で拡散するので、ピペットを鉛直に保持し、ふたたび沈殿物が出口近くに落ちてくるまで待ってから、その濃い一滴をホールグラス(くぼみのついたスライドグラス)に垂らす。
これを顕微鏡で見る。
百発百中とは言わないまでも、かなりの確率でクマムシを発見できる。
下が当時この顕微鏡で撮ったクマムシ写真(カメラはオリンパスのCAMEDIA C2000-Z)。写真にしてしまうと、魅力は半減するが、ま、形状はなんとかわかる。
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いただいたコメント
kenji さんによるコメント
初めまして。私は教員です。生徒とクマムシを調べているのですが、スライドガラス上でつくったタン状態を復活させることができず、試行錯誤を繰り返しています。笹からクマムシを採取してみます。[2004.05.25 #51]
kazu さんによるコメント
コケでやってみましたが、見つからず、今度は竹の枯葉に挑戦します。[2005.05.13 #177]
さんによるコメント
すご
[2005.11.15 #244]
西華 さんによるコメント
勉強になりました。
これからクマムシのことを調べようと思っていたので大変参考になりました。
ありがとうございます。[2005.11.16 #245]
茂美 さんによるコメント
以前から興味があり、是非採集・飼育に挑戦したいです。最近では、早川いくをさんの「へんないきもの」でも紹介され、フィギィアまであるのですね。思わず2体買ってしまいました。大変、参考になりました。ありがとうございました。[2006.06.04 #347]
忍者 さんによるコメント
へぇ〜、私も飼って見たいと思いました。
(このホームページ役立つなぁ・・・感動)[2006.05.09 #277]
gh さんによるコメント
こんな虫がいるなんて、知りませんでした。
顕微鏡で見る形に驚きです。TBSのラジオ番組を聞いて知りました。[2006.12.25 #403]
はち さんによるコメント
気持ち悪かったけど
感動した☆
[2006.12.15 #400]
いそぴぇ さんによるコメント
乾燥に強く、高温・低温でもまた水がなくても真空状態でも100年以上の生命力があるクマムシ。こんな生命体が今や放置され他の樹木を駆逐してしまった竹林・藪の中、落ち笹の葉に多数眠っているいやうごめきつづけていると思っただけでぞっとする。
美味しい美味しい「たけのこ」をこれから食べるのを遠慮させてもらう事になりそうだ。なにしろ150度の沸騰した後でも生き続けているのだから・・・
恐ろしい生き物。見つけてくれてありがとう。感謝しています。[2006.11.29 #395]
一角すてぃんぐ・かんちゃん修平 さんによるコメント
まぁすごいかっこいいちょ
もーすごすぎてもらしそう[2006.05.16 #295]
りんご さんによるコメント
尊敬です[2006.10.14 #384]
りんご さんによるコメント
これまじすごくないっすか?もうフィギィア欲しかったのに
なかったぁーーーーーーーーーーーーーーー↓
[2006.10.15 #386]
lr さんによるコメント
すっげーーーーーー〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜−−−−ーーーーー
ハンズルヴァ・ゴンゲレヴァ じゃ〜〜〜ーーー〜〜〜ん[2006.09.03 #371]
りんご さんによるコメント
このまえ、「へんないきもの」という本で、
クマムシを発見したのでお知らせしておきます。
検索サイトも乗ってるので見てみて![2007.01.06 #408]
やすりん さんによるコメント
私も今度クマムシを探したいとおもいます!!干からびても、生き返るなんてステキ☆[2007.01.27 #414]
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