7 関守
[初出] 2004.07.24 [最終更新] [平均面白度] 4.67 [投票数] 6 [コメント数] 0
考えてみると、仔猫と暮らすという至福は十数年ぶりに味わっているわけだ。もうすっかり忘れていたんだけど、仔猫はいい。見ているだけで頬がゆるむ。
代謝がどういう具合になっているのかよくわからんが、偕楽園はものすごい勢いで回復し、きれいな毛並みになり、いっそう元気になってきた。体重もずいぶん増えた。しかし、まだまだ仔猫で、後ろ足を揃えて駆け回っている。子鹿のようでもあり、ウサギのようでもある。
台所と廊下の間のドアは、その一番下の30cm四方を切り欠いてあり、そこに布きれを吊ってある。いわば簡易型の猫ドアになっているわけだ。先日、このドアの使い方を教えたところ、すぐに覚えたのはいいとして、必要以上にこの仕掛けを好むようになってしまった。
無闇に出入りする。布から少し離れたところでうずくまって尻を振り、一気に布を突破して駆け抜ける。それを何度も繰り返す。
それに飽きると、そのドアの陰にずっとうずくまっている。誰かがドアを通り抜けるのを待っているわけだ。コウや萩が通ってくると、ワアとばかりに脅かしてやろうという計略。これはかなりの確率で成功しており、おどかされた先住者たちにそのたびにはげしくしかられているが、めげることなく繰り返している。つまり、関守ですね。
これはコウも以前はよくやっていた。ただし彼女の場合、潜んでいるのは階段の踊り場の陰であり、狙う旅人は人間であった。これは我が家では山賊ごっこと呼び習わされていた。たくさんの洗濯物を抱えて階段を上がるツマなどは、何度も驚かされていた。そのたびに激しく叱られていたが、無反省に繰り返していた。因果応報。こんどは自分がヤられているわけだ。
先住者との関係は、依然として良好とはいえないが、それでも許容される距離はずいぶん短くなってきた。よい傾向だ。あとしばらくで、仲良しになるとまではいかないまでも、存在は認知されることになるだろう。そうなれば、こっちも気を遣わなくてすむ。その日まで、もうちょっとの辛抱だ。
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