テレビを見て腹立ったりイカったり、泣いたことだってあるけれど、慄然としたのは初めてでありました。文字通り、背中がゾクゾクっとしました。あえて感情を分類すれば「恐怖」に分類できるのかもしれません。
昨夜、漫然とテレビをつけたらバラエティ番組で「イラクの場所を地図で示せ」という問題をゲストの芸能人/政治家に答えさせるというシーンでした。現役の国会議員もいるんだから、もうちょっとヒネった問題を出した方がいいのになどと思いながら(足の爪をきりながら)見ていると、なんと、隣同士に座った自民党の山本一太参議院議員と甘利明衆議院議員が、あろうことかフリップの世界地図のシリアのところを塗りつぶしていました。「カンニングしたろう」と突っ込まれていましたが、カンニングとかどうとかの問題じゃないでしょ。
グルジアとかモザンビークとかの場所を聞いたんじゃないんです。イラクなんです。ふたりとも現職の国会議員で、ふたりとも自衛隊のイラク派遣を決めたときにはすでにその職にあったはずです。山本議員はテレビなんかでも、外交・国防問題に関してコメントをしているのをよく見かけます。それが専門分野というじゃないですか。
あの問題を審議しているときに、イラクについて勉強したり、調べたりしなかったんでしょうか。真剣に考えたりしなかったんでしょうか。イラクの場所は、地政学的にシリアと取り違えることはありえません。だいいちシリアはペルシャ湾に面していませんからね。
こういうひとたちがイラクへの自衛隊派遣を議決したということだったんですね。ちなみにゲストででていた自民党の国会議員はこのふたりだけでした。100%の誤答率です。
このシーンを見ていない人もたくさんいると思いますので(ここは普段はそういうページではないんだけど)報告をしておきます。
将来の日本史の教科書には「イラク派兵はイラクの場所がどこかもわかっていない国会議員により議決された」と記述していただきたいと思います。
いま、この記事を書くにあたって、お二方のWebサイトを確認したところ、山本一太さんのページには4月13日付け(つまり放送の前日)で、「
地理の苦手な政治家」と題して、昔から地理が苦手だったというようなことを弁解がましい日記みたいなのが掲載されています。テレビ番組でイラクの場所を間違えたとは書いてありません。「正直に言うが、アフリカのコートジボワールとか、シエラレオーネがどこにあるのか(だいたいここらへんだなというのはあっても)、地図上で正確に示す自信がない」とか「アメリカ合衆国の地図を見ても、マサチューセッツ州とか、ニューヨーク州とか、カリフォルニア州なんかはすぐ分かるが、ユタ州がどこだったか、バーモント州がどこにあるかと聞かれると、これも100%、確信がない」なんて例を挙げています。なんども言いますが、なにもコートジボアールとかソルトレークがどこかと聞いているわけじゃないんです。これは「地理」の問題じゃありません。我が国の抱える最大の問題を理解するためのもっとも基礎的な情報のひとつです。
何かを知らなかったということをもって、その人のことをなんだかんだと評価するのは間違っていると、つねづね思っています。××も知らないのか→バカというような言い方には不快感を覚えます。「××も知らない」という事実から演繹できるのは、単に「××を知らなかった」ということだけである。しかし、これはもはやそういうレベルの話ではないのは明白です。
山本氏はその日記を「そうだ。 オフィスに大きな「地球儀」を買って、しょっちゅう眺めていればいいんだな。 さっそく、注文することにしよう。 「方向音痴」は治らなくても、「地図の分からない政治家」からは脱却出来るかもしれない。(笑・笑)」と締めくくっています。
この二人の国会議員がイラクの場所を知らなかったということを、ぼくは決して忘れないようにしようと思います。
私だったら、放映された時点で国会議員を辞めますよ。恥ずかしさのあまり。イラクの位置を知らないということは、イラン、アフガン、パキスタンなどの位置も知らないのかもしれません。国際政治とは様々な国々や民族との関係性から成り立っています。なぜ、イ・イ戦争が起こったのかとか、クルド問題とは何かとか、といった国際政治専門家と自認するのであれば、知っていて当然の初歩的知識を知らないということです。それを地理の問題に矮小化して弁明している醜い山本氏に国会議員の資格はありません。イラクの位置を知らないということは、全く国際政治を知らないということに等しいのです。それが自民党の外交副部会長
とは! 悲しくて笑ってしまう。偽メール問題よりも、こんな政治家が自衛隊のイラク派兵の推進者の1人であったということの方がはるかに問題です。なぜ、マスコミはこれを大々的に問題として取り上げないのか、それにも憤っています。悲しき派遣された自衛官のためにも。[2006.04.27 #273]